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落花時節 (Fallen Petals)

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1967年、香港(邵氏)。潘壘監督。張美瑶、柯俊雄、祝菁、歐威主演。

邵氏が台湾で撮影したコテコテのメロドラマ。
『雷堡風雲』でご紹介した「寶島玉女」こと張美瑶と、後に彼女と結婚することになる柯俊雄(当時は台湾きっての二枚目男優でした。かんけーないけど『悪魔の生首(心魔)』観たいわ)が共演しています。
監督の潘壘は、元台湾の中影(中央電影公司)に所属し、1963年に邵氏に加入後は、台湾撮影作品を多く手がけました。

以下は、おおまかなあらすじ。

太平洋戦争末期の台湾。
台北帝国大学に通う天賜(柯俊雄)は、従妹で許婚の玉蘭(祝菁)に対して恋愛感情を持てないことに悩んでいました。
そんなある日、友人(歐威)宅で友人の妹のクラスメートである素津(張美瑶)と出会い、恋に落ちます。
二人は結婚を誓い合いますが、その頃台湾でも徴兵制が実施されて天賜も応召を受け、南方へ送られます。
その後、天賜の子を妊娠していることが判明した素津は、父親から勘当されてしまい、乳母とともに家を出ます。
ぶじ元気な男の子を産んだ素津でしたが、戦争が終った後も、天賜の消息はわからないままでした。
子供の将来のことを考えた素津は、このまま私生児として育てるよりも天賜の両親に育ててもらう方が幸せではないかと思い、台中にある天賜の実家を訪れますが、金目当てでゆすりに来たと勘違いされて追い返されてしまいます。
台北へ戻った素津は、生活のために酒家でホステスとして働き始めます。
そんな折、ようやく南方から復員してきた天賜は、素津のことを探すものの、見つけることが出来ません。
素津のことをあきらめた天賜は、玉蘭との結婚を決意するのでした。
婚礼を控えた晩、天賜は大学時代の同級生に連れられて酒家へ行きますが、そこでぐうぜん素津と再会します。
天賜は素津と一夜を過ごし、もう一度互いの気持ちを確かめ合います。
天賜の本当の気持ちを知った玉蘭は身を引くことを告げ、天賜は結婚の申込をするため素津のもとを訪ねます。
が、玉蘭を傷つけることや堕落してしまった自分に耐えられなくなった彼女は、自らの命を絶ってしまったのでした。
しかし、天賜は、素津のことをいつまでも想い続けるのでした。

2人が逢引をする場所の明治橋(中山橋)や、空襲がきっかけで結ばれるといった道具立ては、なんとなく『哀愁』を思い起こさせますが、ストーリー自体、どこかで見たような話です。
もしかしたら、元ネタがあるのかも知れません(ご存知の方、ご教示下されば幸いです)。

さて、本作のみどころは、何と言っても令嬢からホステスへと転落していく張美瑶の変貌ぶりであります。
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実はわたくし、彼女の映画を観るのはこれが5本目なのですが(あとの4本は『香港の白い薔薇』『バンコックの夜』、『雷堡風雲』、『再見阿郎』)、このホステス姿の彼女を見て、初めて心底美しいと思いました。
もちろん、前々から「きれいな人だなあ」とは思っていたのですが、こんなにきれいな人だとは、正直言って気付きませんでした。

それにしても、令嬢よりもホステスに心魅かれるわたくしって、いったい・・・・。

わたくしの希望としては、自殺なんかせずに「今さら何言ってんの!花嫁さんを悲しませちゃ駄目よ」とか何とか言って男に三行半を突きつけて、自分は子供を育てつつホステスとして誇り高く生きていってほしかったのですが、それじゃあメロドラマじゃなくて肝っ玉母さんの話になっちゃうので、無理か。

そうでなくても、男の気持ちを知った婚約者が、物分りよく身を引いちゃうあたりなんざ、どこまでも男にとって都合のいい話になっていますね。
で、身を引いた婚約者がどうするかというと、修道院に入ってシスターになっちゃうんですよ。
これ、『星星・月亮・太陽』(1961年、電懋)の葛蘭(グレース・チャン)と、ちょっと似ています。
彼女も、恋愛と友情の狭間で悩んだあげく、シスターになっちゃったのでした。

でも、シスターより、尼寺でハゲカツラの方が、個人的にはそそります。

ところで、張美瑶はこのあと柯俊雄と恋に落ち、1970年に結婚、引退します。
張美瑶が1941年生まれ、柯俊雄が1945年生まれですから、4つ年上の姉さん女房でした。
そして、近年までおしどり夫婦として知られた2人でしたが、2002年、張美瑶が30数年ぶりにカムバックした後、実は2人は長らく別居状態にあるという報道が出て、張美瑶自身もそれを認めました。
さらに昨年、柯俊雄には他に付き合っている女性がおり、その女性との間にも子供がいるらしいという記事が出て、果たして熟年離婚に至るか否か、という点に注目が集まっているようです(その後、正式に離婚しました)。

男女間のことに口を挟むのもなんですが、正直言って、あんなに綺麗な奥さんを貰っておいて、とんでもねえ野郎だなと思ってしまいましたわ。

こんな状態にあるくせに、(柯俊雄は)立法委員(国会議員)選挙に出馬するみたいですしね。

・・・・なんだか話が横道に逸れてしまいました。

お話としては古めかしいですが、張美瑶がとてもきれいなので、きれいなお姉さん好きの方にはおすすめしたい、そんな映画でございます。

付記:余談ですが、張美瑶が贔屓客からの指輪のプレゼントと引き換えに「ご休憩」する場面で出てくるのが、北投温泉の「星の湯(逸邨大飯店)」。以前読んだ李昂の『迷いの園(迷園)』にも、そういう目的でここを使う件がありました。
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by sen1818 | 2004-08-16 22:13 | 映画

貯まるかな? (管理人名:せんきち)


by sen1818