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ライス・ラプソディー (Rice Rhapsody)

2004年、シンガポール・香港(Kenbiroli Films 、JCE Movies Ltd)。
畢國智監督。張艾嘉、マーティン・ヤン主演。

シンガポールの肝っ玉母さんと、その息子たちを描いた映画。
中文タイトルは『海南雞飯』

海南鶏飯の店を切り盛りする珍(張艾嘉)は、女手一つで3人の息子たちを育ててきました。
が、上の2人はゲイで、もしも末っ子のレオまでゲイだったら・・・・と心配した珍は、隣の店の金水(マーティン・ヤン)と一計を案じ、フランス人留学生・サビーヌを同居させて、レオの様子を見ます。
珍の思惑通り、レオはサビーヌと結ばれるものの、しかし、仲良しの同級生・バットマンがシンガポールを去った後、レオは自分の本当の気持ちを知ることになるのでした・・・・。

「シンガポールのゲイ」というと、わたくしは『フォーエバー・フィーバー(Forever Fever)』の次男坊を思い出します。
あの映画では、両親にとって期待の星だった次男がゲイであることを知って父親が激怒、次男を勘当してしまうのですが、それは1970年代後半の話。
それでは、21世紀の今日、ゲイの息子を持った母親が息子を無条件で受け入れるかというとそんなことはなく、やっぱり取り乱し、嘆き悲しむのでありました。

しかし、そんな家族の紐帯となるのが、料理。
そして、それ(家族の和解)を後押しするのは、海の彼方からやって来た「まれびと」たるフランス人女性・サビーヌなのでした。

料理を中心に据えた家族の映画という点や、オープニングの映像、そして、息子が作った海南鴨飯(金水の新作料理)を食べた母親が、頑なな心を開いていくというあたりに、わたくしは李安(アン・リー)の『恋人たちの食卓(飲食男女)』と相似したものを感じました。
李安のそれが「頑固親父と3人の娘たち」の映画だった点も、どことなく似通った印象を受ける原因になったのかも知れません。
そういえば、『恋人たちの食卓(飲食男女)』にも張艾嘉は出ていましたね。
また、息子がゲイという設定で言うと、李安にも『ウェディング・バンケット(喜宴)』という作品がありました。

それから、サビーヌの使い方に関しては、賛否が分かれるような気がしました。
彼女が家族の和解にとって非常に大切な役目を果たしていることは言うまでもないのですが、しかし、サビーヌの存在がなかったら珍は新しい一歩を踏み出すことができなかったのか、そのあたりの説得力が今ひとつ欠けていたようにも思われます。

張艾嘉(シルヴィア・チャン)は、さすがの貫禄。
息子の作った料理を食べる場面では、思わず落涙しました。
冒頭、彼女が話す北京語を聞いて、「おや?いつもの彼女のアクセントとは違うな」と思っていたら、役柄上シンガポール風のアクセントにしていたのだとか。

金水役のマーティン・ヤン(Yanはヤンになってましたが、もしかしたら、イァンないしはイェンと読むのかも知れませんです)は、俳優さんではなく、実は御料理番組の先生
映画の中でも、せっせと料理を作っていました。
自然体の演技(?)で、張艾嘉となかなかのやり取りを見せます。

この他、有名どころでは、マギーQが香港のセクシー女優役、そして、監督(ケネス・ビー)のご両親である金漢&凌波夫妻が、張艾嘉のご近所さんの祖父母役でちょこっと顔を出していました。

中文タイトルにもなっている海南鶏飯は、海南島からの移民が考案したシンガポールの名物料理であることはご周知のとおり。
じっさい、海南島には「文昌鶏」という有名な地鶏がいて、この鶏を使った料理(白斬鶏)と鶏のスープで炊いたご飯を海南島へ行ったさいに食しましたが、肉がモチモチしていて大変美味でした。
おそらくは、故郷の地鶏の味を思い出しつつ、移民が作り出した料理、それが海南鶏飯なのでしょう。

付記:マギーQと一緒にいた男性、以前チャンネルVのVJだった人なんですが、名前が思い出せません。
川崎真弘が音楽を担当しています。

(VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ Screen7)
by sen1818 | 2004-10-27 00:31 | 映画

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by sen1818