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大奥(秘)物語

1967年、東映京都。中島貞夫監督。藤純子、小川知子、佐久間良子、山田五十鈴主演。

「おおおくまるひものがたり」と読みます。
「まるひ」がポイントね。
岡田茂氏ご自慢のタイトル。
目下、「勝手に大奥祭り」開催中なので、テレビ時代劇・元祖『大奥』(1968年、関西テレビ・東映)のルーツである本作とその続編を取り上げてみることにしました。

ときは、六代将軍・家宣(高橋昌也)の御世。
お話は、3話オムニバス形式で進みます。

第1話は、ひょんなことから(って、どの話もこのパターンなんだけど)お手付き中臈になったおみの(藤純子たん)の物語。
無邪気なキャピキャピ娘がしたたかな大人の女へと変貌していく、その過程を藤純子たんが見事に演じております。
『くノ一忍法』での野川由美子たんの変貌振りもすごかったけれど、こういう女の勁さを描かせると、中島監督って俄然張り切るみたいですねえ。
なにせ「女を描きたい」と思って東映入り(なんで東映?)した方ですから。
別の男の子種を頂く件でも、帯を解いて横になった純子たんの表情に、ある種の開き直りと言うか、

あたしが欲しいのはあんたの種だけなんだから、とっとと済ませてよね!

みたいな、前向きな投げやり感があったのが、妙に印象に残りました。

ここでいきなりこんな話を持ち出すのも、「こじつけ」に過ぎないと言われそうですが(実際そうなんだけどさ)、子恰ちゃんにもこういう役をやってもらいたいものです。

第2話は、禁断のレズレズ話。
テレビ版『大奥』ではナレーターとしておなじみの岸田今日子たんが、ここでは小川知子たんとくんずほぐれついたします。
小川知子たんが、初々しくてよろし。
で、その初々しい知子たんも、変貌しまくります。
将軍のお子を身ごもった知子たん、今日子たんの制止も聞かず、産む決心をするのですが、そのときの台詞が、

上様のお子だからではない、私の子だから産むのです。

「私の子だから」ってとこが、ミソね。
「誰のためでもない、あたしのために生きるのよ」ってな考えに目覚めちゃったわけです。
が、けっきょくは今日子たんに水銀を飲まされて(このあたり、ちょっとホラーっぽい)流産、自分も井戸に身を投げて果てるのでした。

第3話は、大奥奉公している町人の娘のお話。
前の2話と比べると、ストーリーも演技もなんだか古めかしいです。
また、藤純子たんに小川知子たんと、若手・新人の起用が続いた後で、佐久間良子たんとくると、なんだかトウがたった印象は免れず・・・・(失礼)。
もう少し、フレッシュな顔を起用して欲しかったっす。
ま、会社の方針もあったのでしょうが。
ラスト、「畜生!」と捨て台詞を吐いて将軍に切りかかっていくところはけっこう面白かったけれど、もっともっと壮絶にできたような気もします。

3話全てに登場する山田五十鈴たんのお顔も身体もヘビー級の演技が、作品に重厚さを加えていました。

映画もテレビも東映製作だから当たり前なんだけど、キャストが微妙にかぶっていて、見比べてみたら面白いだろうなあと思いましたです、はい。

付記:中島監督は、テレビの『大奥』でも、藤純子たんのエピソード(緋牡丹の佳人)と最終回で監督をつとめています。
by sen1818 | 2004-09-24 22:37 | 映画

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by sen1818