<   2004年 06月 ( 46 )   > この月の画像一覧

ラスト1本800円で

『東京=ソウル=バンコック 実録麻薬地帯』を観てきました(於:新文芸坐)。

いやはや、すさまじい映画でした。

苗可秀(ノラ・ミャオ)出てたけど、香港電影迷はあんまりいなかったような・・・・。

とりあえず、明日詳しく書きます。

疲れちまったもんで、すんません。
[PR]
by sen1818 | 2004-06-30 23:55 | しようもない日常

鉄砲玉の美学

1973年、ATG・白楊社。中島貞夫監督。渡瀬恒彦、杉本美樹主演。

渡瀬恒彦の愛すべきチンピラ映画であり、なぜか無性にラーメンが食べたくなる映画でもありました(チキンもね。食べないなら、テイクアウトで!)。
オープニングからラストまで、食べる映像に始まり、食べる映像で終ります。

渡瀬恒彦は、大阪のしょぼいチンピラ・清。
森みつるたん(『女囚さそり けもの部屋』で、無理やり堕胎させられて死んじゃう娼婦をやってた方)演じるソープ嬢・よし子のヒモみたいなことをやりながら、路上でうさぎを売っていますが、さっぱり売れません。
よって、よし子の部屋にはうさぎの檻が鎮座ましまして、可愛いうさちゃんたちは今日もキャベツをむしゃむしゃと食べています。
で、今度は麻雀仲間から、「犬ならもっと儲かる」とおかしなことを吹き込まれ、

犬を飼って、そいつを増やして儲けるぞ!

と、にわかブリーダーを目指そうとしているところへ(あほだね)、九州進出を目論む組幹部から鉄砲玉に抜擢されて、100万円と拳銃貰って、一路、宮崎へ向かうのでした。

そして、宮崎での日々が始まるわけですが、ホテルの部屋で鏡を覗きながら、

わいは天佑会の小池清や!

と、かっこいい名乗り方を必死で練習する渡瀬恒彦の姿が、むちゃくちゃ安くていいですわ。

で、街に出たら出たで、「まずは女」とばかりに飲み屋の姉ちゃんに粉かけて回り、せっせとジョニ黒振舞って気前のいいところを見せます。
ジョニ黒が高級酒の代名詞だった時代なのですね。

が、この後、兄貴分の指令で難癖つけに立ち寄った店(南九会の幹部・杉町が経営するクラブ)で、杉町(小池朝雄)の情婦・潤子(杉本美樹たん)に一目ぼれ。
はじめは遠くから見ているだけでしたが、杉町の子分(拓ぼん)が清に襲い掛かるといういざこざが発生、これを口実に天祐会が進出してくることを恐れた杉町は、潤子を清に差し出すのでした。

というわけで、二人は一路都城へ。
夢中で潤子とやり続けて、いつの間にか日が高くなっちゃったというのにも笑いましたが、清がかつてコック見習いをしていた頃、悶々とした思いを抱えながら、便所の壁にエッチな落書きをしつつセンズリをこくといった、合間合間に挿入される過去の映像が絶妙でしたわ。

合間に挿入、といえば、よし子がラーメン食ってる映像とうさぎがキャベツ食ってる映像も要所要所に挟み込まれて、これも効果的でした。
森みつるたん、思わず「女(ラーメン食べてる)小池さん」と呼びたくなる怪演です。

しかし、杉町が事態の収拾を図ったことで天祐会は進出を断念、潤子は一人宮崎に戻ります。
何も知らない清は、呑気に自分の誕生祝の料理(特製チキンの丸焼き)なんか作ってにやけていましたが、そこへよし子が現われて事情を説明、清はようやく自分が用済みになったことを知ります。
遊びに来いと電話したホステスたちからも全く相手にされず、やけになった清は大阪にいるとき知り合った女のところへ行き、強引に連れ出そうとするものの、警察を呼ばれてしまい、逃走する途中で警官に発砲して自分も傷を負ってしまいます。
虫の息の清は、潤子と一緒に行こうとしていた霧島行きのバスに乗り込み、そこで息絶えるのでした。
って、けっきょくあらすじ書いてしまったわ。

霧島は、高千穂峰ね、天孫降臨の。
「神さまが降りてきたところ」という潤子の話を聞いて、清がモーレツに行きたがるのですが、たどり着けぬまま、車中で息を引き取ります。
でも、清は、神さまが降りてきたみたいな信じられない日々を過ごして昇天したのだ、とも言えますね。
チンピラは、所詮どこまでいってもチンピラでしかなかったにせよ。

杉本美樹たんは、抑揚のない台詞回しがなんだかアンニュイなムードを醸し出して、美しうございました。
森みつるたんの化け物ぶりに比べると、ちと影が薄い感もありますが。

しかし、松井康子たんにも粉かける渡瀬恒彦って、なんでもありのやけくそ趣味だったんでしょうか。って、康子たんに失礼ね。ごめんなさーい。

(於:新文芸坐)
[PR]
by sen1818 | 2004-06-30 00:12 | 映画

その後のポスト

先週、ちょこっと書きましたが、いよいよ昨日発売の 『週刊ポスト』最新号のグラビアから、乳と毛が追放されました。

中吊り広告を見てもわかる通り、近ごろ何かと話題の高岡早紀たんのグラビアは、竹中直人が撮影したランジェリー物。
あとは、小倉優子たんのビキニなんかもおました。

が、問題は本文の方。

団鬼六・73歳「新ED薬(レビトラ)」でSM嬢を組み伏す

は、団鬼六先生がED薬を試したらバッチグー(死語)だったという記事。
バイアグラより、全然よかったそうです。
これを読んで、

おっ!俺も、これを使えばまだまだいけるかも!

なんて思ったお父さんも、けっこう多いのでは?

さらにその前には、

オンラインで逆輸入「無修正AV」が買えた!

などという記事もございました。

乳や毛を無くしたからといって、全ての内容まで変化したわけではなく、むしろ本文のエッチ度は、今後よりいっそう増すのではないかと思いましたです。
でもそうなると、いったい何のためにグラビアから乳や毛を追放したのか、その目的すら疑わしくなってきますが。

今後の推移を、見守りましょう。
[PR]
by sen1818 | 2004-06-29 21:10 | 読書

珍獣さん登場?

意図したわけではないのですが、なんかシリーズ化しているので、一応、

第1話第2話第3話

をお読みになった上で、こちらをお読み下さい。
面倒な方は、そのままどうぞ。

さて、「ここまで行ったら初出まで遡ってやる!」というわけで、『ジャズランド』1975年11月号(「日本映画/その歩む所に心せよ」初出)、1976年2月号(「ポンコツ・ヒロインふたたび」初出)を購入いたしました。

まずは1975年11月号。

ますみたんの写真が載ってるかと思ったら、全然なし。
あったのは、拓ぼん&室田日出男。

がちょーん。

けっこう高かった(といっても1500円)ので、ちょっとがっかり。

で、「今度こそ」と思い、1976年2月号を注文。
今日、ようやく届きました。

載ってましたよ、写真。

しかもキャプションが、ふるっています。

これが橘ますみだ!古本屋でやっと見つけた6年前の『プレイボーイ』巻頭グラビアの彼女なのだ

ですと。

珍獣さんみたいですね。

使われていた写真は、キャプションにある通り、『週刊プレイボーイ』1969年8月19日号グラビアからのもの。
転載許可を取ったかどうかは不明です。

でも、「これが橘ますみだ!」なんて言われ方をしているところを見ると、この頃にはもうすでに「誰も知らない」状態になっていたのでしょうかねえ。

でも、「やっぱり、買ってよかったなあ」と、嬉しい気分になりましたです。
今月は、映画も2本観られましたし。
[PR]
by sen1818 | 2004-06-29 01:01 | 橘ますみ

ひばりの愛の逃亡姉妹

ザ・ガードマン 285回 1970年9月18日 TBS 美空ひばり、中村メイコ主演。

唐突ですが、美空ひばりがゲスト出演した『ザ・ガードマン』です。
毎年、命日(1989年6月24日)近くになると追悼番組が目白押しなのですが、これはCSのTBSチャンネルでやっていました。
DVDも出ているそうです。

実はわたくし、この回をリアルタイムで観ています。
といっても、内容に関する記憶は、ほとんどないのですが。
うちの母親が「狂」が付くひばりファンで、

今日の『ガードマン』は、ひばりがゲストで出るのよ~!!!

と、朝から興奮していたので、そのことだけはよーく覚えているのです。

で、一応、内容を説明しますと、

麻薬の運び屋の女(中村メイコ)が、箱根で車にはねられ、箱根ホテル小桶園の警備に当たっていた高倉(宇津井健)たちに助けられます。
所持品から、女は貞子という名前であることがわかり、高倉は実家の呉服屋(こちらでロケ)を訪ねますが、出迎えた妹・詩子(美空ひばり)から、貞子は家業を嫌って家出中であることを聞かされます。
一方、姉妹の父は貞子の消息を知って怒りのあまり発作を起こして倒れ、危険な状態に陥ります。
貞子を迎えに行く決心をした詩子は、高倉と箱根に向かいますが、貞子は密売組織のボス・野尻(戸浦六宏)に連れ去られた後でした。
貞子が持っていたハンドバックの中から麻薬を見つけた詩子は、高倉にその麻薬を預かってもらい、貞子に自首をすすめます。
その夜、高倉は自首したいという貞子に呼び出されますが、それは野尻が麻薬を取り戻すために仕掛けたワナでした。
高倉は野尻に監禁されてしまい、詩子は野尻らと麻薬を狙う別組織の男たち、二つのグループから命を狙われます。
結局、詩子は貞子の身柄と引き換えに野尻に麻薬を渡すことを決意、ロープウェイ乗り場に呼び出します。
詩子はやって来た野尻に麻薬を渡しますが、実はそれはただの小麦粉でした。
詩子と貞子は、野尻たちに襲われますが、間一髪で高倉がかけつけ、野尻をやっつけます。
実家へ戻った二人は、父の最期を看取り、貞子は罪を償うため、ガードマンの車で警察に向かうのでした。

といった、あんばい。

いやあ、何がすごかったって、メイコのメイク(駄洒落じゃないってば)。
あの時代の最先端なのだろうけれど、鼻の赤くないピエロみたいでした。
ちょうど、

あ、いっけなーい!夕べ、酔っ払っちゃって、メイク落として寝るの忘れちゃったー!

と、後悔している寝起きの娘って感じの顔でしたわ、全編。

ひばりのファッションは、「どでかサングラスかけてスカーフ頭に巻き巻きのパンタロンルック」という、ファンの方にはおなじみのもの。
ひばりフリークの母を持つ当方にも、すっかり見慣れたいでたちでした。

で、ひばりがゲストだけに、彼女が歌う場面も強引に(?)拵えてありました。
冒頭、メイコがジュークボックスで『悲しい酒』(レコードなので、ちょっぴりテンポ早め)をかけたり、訪ねてきた宇津井健に向かって姉妹の思い出の曲を歌ったり・・・・。
特に、宇津井健の場面では延々と歌い続け、宇津井健も美しい姉妹愛に感動したのか涙をこらえながら(歌に)聞き入っているし、「初対面の人たちなのに、歌で魂の交流してるわ」と、なんだかびっくらこきましたです。

念押しすると、ひばりの役は歌手ではありませんですのよ。呉服屋の娘さんです。
でも、歌わずにはいられないらしいっす。

メイコとひばり姉妹ばかりか、宇津井健までさんざんにいたぶる悪役には、おなじみ戸浦六宏。
最後は、あっけなくやられちゃいます。
ひばりから麻薬を受け取る場面で、ひばりが、

それは、ただのメリケン粉よ!

と言うと、戸浦さん、ぺろりと舐めて一言、

ちっ!うどん粉だ!

と悔しがります。
一舐めしただけで、輸入物(メリケン粉)じゃなくて国産物(うどん粉)だとわかるなんて、さすがプロですね(何のプロだよ)。

それにしても、ひばりは箱根の温泉ホテルに滞在していて、どうやってダミーの麻薬なんか拵えたんだか。
レストランの調理場に行って、あの口調で、

メリケン粉ちょうだいよ。

って、頼んだんでしょうか。

宇津井健は、同行していた中条静夫が全くあてにならないため(すぐに殴られて気絶)、孤軍奮闘でした。
中条、もう少し強くなれよ。

で、ラスト、メイコが警察に出頭する場面になって、なぜかガードマンが全員集合、呑気にひばりと談笑していました。
そんなに面子が揃っているなら、あと何人か箱根に派遣した方が・・・・。

ちなみにこの回、放送当時、40%近い視聴率を獲得したそうです。
それもすごいわ。

(於:TBSチャンネル)
[PR]
by sen1818 | 2004-06-29 00:14 | テレビなど

日本暗殺秘録

1969年、東映京都。中島貞夫監督。千葉真一主演。他、スターがざっくざく。

オールスター・キャストによる暗殺者列伝
東映お得意の「暴力とセックス」という2枚看板(?)の内の暴力方面で、こんな映画を作っちまうとは。いやはやびっくり。
何かに憑かれたような気迫が、全編を覆っておりました。

冒頭、突如若山富三郎が登場して井伊大老をばっさり、生首持って疾走中に幕府方に斬られて死亡、という「桜田門外の変」に始まり、唐十郎一派がお猿のようにすばしっこい身のこなしで大久保利通を暗殺(大久保暗殺事件)、おすましさんの吉田輝雄が外務省前で大隈重信に爆弾投げつけた後あっさり自決(大隈暗殺未遂事件)、カメラが暗殺犯の視線になって星亨を殺害(星亨暗殺事件)、顔に斜め傷の入った菅原文太が安田財閥当主を斬殺(安田暗殺事件)と、まずは暗殺5連発。

この後、高橋長英がギロチン社社員古田大次郎に扮した「ギロチン社事件」をちょっぴり長めに。
次の千葉ちゃんもそうだったけれど、高橋長英演じる古田も基本的には「澄んだ目をした若者」で、こういう若者の純粋でまっすぐな情熱が、ある意味一番始末におえなかったりするんですよね。
で、活動資金調達のために銀行員を殺害、絞首刑に処せられることになった高橋長英を呼び出しに来た看守のギョロ目が、独房の覗き窓からぬっと覗き・・・・土方巽でした。

そしていよいよ、本作のメイン部分である「血盟団事件」に入ります。

昭和7年(1932)、井上準之助前蔵相を暗殺した千葉真一扮する小沼正の公判が開かれるところから始まり、映画はここに至るまでの小沼の軌跡を辿っていきます。

小学校卒業後、貧困のため上級学校へ進学することの叶わなかった小沼は、故郷茨城を出て上京、奉公人として勤めますが、

「うちだって(経済的に)苦しいんだからね!」

と、奉公人には我慢を強いつつ、自分たちだけ平気ですき焼きかっ食らう主人家族に反発、実家へ舞い戻ってしまいます。
幸い、再就職先も見つかり、再び上京した小沼は、実直で働き者の主人夫婦(小池朝雄&桜町弘子たん)が営むカステラ屋で一所懸命に働き、そこで女中・たか子(藤純子たん)と出会います。
お互い強情っぱりで、口喧嘩をしながらも惹かれ合っていた二人でしたが、賄賂を要求する官憲の横暴と、高利貸のキツーイ督促(銀行が貸し渋りするもんだで、街金からしか金借りられんかったのよ)によって経営不振に陥ったカステラ屋は倒産、たか子は主人家族と行動を共にすることになり、小沼は1人淋しく田舎へ帰ります。

カステラ屋での無理な労働がたたって胸を病んだ小沼は、病院で1人の少女と知り合います。
やはり胸を病んだ娘・民子(賀川雪絵たん)でした。
民子は医者から「入院すれば治る」と言われていましたが、貧しい農家である民子の家にそんな金などありませんでした。
入院する金がないのは小沼の家も同じこと、いつ死ぬとも知れぬ不安の中で、二人は愛し合うようになります。
が、民子の病状は日に日に悪化、小沼に看取られて眠るように息を引き取ります。
絶望に陥った小沼は入水自殺を図りますが死に切れず、そのとき心の底から沸いてきた法華経のお題目によって回心、日蓮宗の僧・日召(片岡千恵蔵)の許に弟子入り、住み込み奉公を始めました。

そんな小沼の前に現われたのが、村の農家の娘・友子(橘ますみたん)。
寺に差し入れする野菜を届けにきたのでした。
家事に不慣れな自分に対して何くれとなく世話を焼く友子を、小沼は憎からず思うようになります。

ある日、東京へ村で獲れたわかめの行商に出かけた小沼は、かつて世話になったカステラ屋の女将さん(桜町弘子たん)とぐうぜん再会しますが、彼女の口から出てきた言葉は、夫(小池朝雄)とも別れて今は女中奉公していること、子供は夫の実家が連れて行ってしまったので、せめて写真を懐に入れて子供を抱いている気持ちになっていること、たか子の消息がわからなくなってしまったことといった、悲しい現実ばかりでした。

日召は、ただの僧侶ではなく、腐敗し堕落した国家の改革を目指しており、彼の許には同じ志を持った若者(村井国夫、近藤正臣、他)や海軍軍人たち(田宮二郎、林彰太郎)が集っていました。
国家改革の計画を実行に移すことになった日召と小沼は上京、陸軍の不満分子とも協力して事に当たりますが、陸軍グループの裏切りもあって失敗してしまいます。
失意の小沼は、ふと立ち寄ったカフェーで女給になったたか子と再会します。
小沼はたか子に「こんな仕事やめろよ」と言いますが、しかし、自分自身の覚悟すら定まらない身の上、あいまいな態度のまま彼女と別れます。
そして深夜、自棄酒を飲んで帰宅した小沼に日召は激怒、「田舎へ帰れ!」と一喝し、小沼もその言葉に従って一旦帰郷します。

帰郷後、狂ったようにお題目を唱える日々を送った小沼は力尽きて倒れ、心配した友子は寝ずに看病します。
友子の献身的な介護によって回復した小沼は、彼女と結ばれますが、訪ねてきた同志から日召が自分のことを呼んでいると聞かされて上京、井上元蔵相暗殺の指令を受けます。

暗殺に使う拳銃の射撃訓練を行うため、急ぎ故郷へ舞い戻った小沼は、母親(三益愛子たん)から友子の妊娠を告げられます。
しかし、小沼は友子には会わずに、そのまま東京へ向かうのでした。
暗殺の前、同志とカフェーで密談していると、そこにいたのは、すっかり荒んだ姿になってしまったたか子でした。
「結婚したと思っていた」と語る小沼(おめでたいね)を振り切って、たか子は泣きながらその場を立ち去ります。

かくて昭和7年2月9日、本郷駒込小学校前で、小沼正は井上準之助前蔵相を暗殺したのでした。

と、いうのがだいたいの筋。

千葉ちゃんの、純粋を通り越してほとんどイっちゃってるまなざし(ナチュラルハイかな?)が、なんだか怖かったです。熱演なんだけど。
ま、だいたい、男優陣はみんなイっちゃてる感が強かったですが。
坂道転げ落ちるように堕落していくバカ正直・小池朝雄の壊れ方とか、千葉ちゃんにぼこぼこにされながら、

「うちでは女房と子供が、俺の持ってくる金を待ってるんだよー!!!」

と叫ぶ、鮫島、じゃなかった、カステラ屋の使用人・田中春男の姿には、お約束ながらそれなりに鬼気迫るものがありましたし。

しかし、わたくしとしては、イキまくり男優陣よりも、それを支える(?)5人の女優さんたち(三益愛子たん、桜町弘子たん、藤純子たん、賀川雪絵たん、橘ますみたん)の方が、深く印象に残りましたです。
みんなみんな、悲しすぎる女たちだけれど、それでもこの辛い現実を受け入れて、精一杯に生きていました。
千葉ちゃんの生まれた村では、女の子が生まれると女郎に売り飛ばせるので赤飯を炊くという凄まじい風習があるのですが、ますみたんなんか女郎に売るどころか私生児を妊娠、しかも父親はテロリストですから、親にしてみれば大損以外のなにものでもありません。

ところで、主人公である小沼正は、死刑になることなくその後釈放され、戦後、日召らと再び政治結社を作ったそうです。
で、この映画のときにもまだご存命だったとか。
ふーん。

子供、どうなったんだろ。

ちなみに、キネ旬データベースにある團琢磨暗殺の件は、彼が團伊玖磨のお父さんだったからなのか、ほんのちょこっとしか出てきませんでした。

さて、メインのお話が終了しても、この映画はまだ終りません。

続いて軍服姿の高倉健さんが登場、「天誅!」と叫びながら陸軍軍務局長を斬り捨てた後、トリを飾る大一番、二二六事件に突入しますが、ここからはモロ、仁侠映画の世界。
鶴田浩二が自己陶酔気味の演技を見せれば、待田京介は、逮捕後、自分たちとは別の房に収監されることになった鶴田に向かって、

「これを食べてくださーい!!!」

と、いきなり林檎を差し出す熱すぎる演技を披露、しまいには、

「天皇陛下、バンザーイ!!!」

を叫びながら銃殺されるところを延々と映し出し、締めは、

そして現代、暗殺を超える思想はあるか?

という、暗に「ない」と言いたげな問いかけを以て「完」。

なんか、蛇足じゃないですか?
というか、これ(二二六事件)で1本作れちゃうぐらいのネタですから、スターを出すために無理矢理くっつけたオマケ感は否めず。
そういえば、オールスターと言いながら、大木実が欠席でした。
脱走兵?

てなわけで(例によって、無理矢理まとめに移行)、観る人によって意見がきれいに分かれそうなこの映画、わたくし的には、実はけっこう面白かったですわ。
暗殺自体は容認できないけれど、あの時代(映画が作られた時代も含めて)よりももっととんでもないことになってるかも知れんのに、いまだに内閣支持率約50%をキープし続けているこの国の現状と、つい引き比べながら観ちまったもんで。
それに何より、女優さんたちがとてもよいので、それだけでもう一度観たい映画になりました。
ヤバネタ満載(?)のせいなのか、DVD化できないらしいのがなんとも惜しいですけれどね。

ところで、今頃思い出したけど、安重根ってどーなのよ。
あ、日韓併合前か。

(於:新文芸坐)
[PR]
by sen1818 | 2004-06-28 00:28 | 橘ますみ
昼間、やぼ用を片付けた後、遅い昼食を食べて、夕刻から新文芸坐へ行き、『日本暗殺秘録』と『鉄砲玉の美学』を観て来ました。

『日本暗殺秘録』は、2時間30分近くある作品ですが、暗殺者たちの情念、というよりは、怨念の力に導かれて一気に観てしまいました。

千葉ちゃん、若かったのね。

千葉ちゃんの子供を身ごもる村娘役で、橘ますみたんが出ていました。っていうか、彼女の姿が観たかったんだけれど。
キネ旬データベースには名前が出ていませんが、けっこう重要な役でした。
賀川雪絵たんも。
中島監督作品の中の二人って、なんだかとっても魅力的です。

くわしくは、また明日取り上げます。

『鉄砲玉の美学』も、後ほど。

杉本美樹たんが、綺麗でした。
あいかわらず、台詞に抑揚がなかったけど。

あ、そうそう、今夜は大槻ケンヂ企画のオールナイトだったらしいけど、若い娘っ子たちがいっぱい並んでいました。
『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』、やるのよねえ。
初めて観る石井輝男作品がこれって、幸運なのか、不幸なのか・・・・。
[PR]
by sen1818 | 2004-06-26 23:53 | しようもない日常
a0012778_224941.jpg
1996年、香港。 爾冬陞(イー・トンシン)監督。張國榮(レスリー・チャン)主演。

7年ぶりに再見しました。
3級片を演出する羽目に陥った売れない映画監督のおはなし。
英文タイトルは、"VIVA BANCHO"、じゃなくて、"VIVA EROTICA"。
で、以下は感想というよりは、単なる無駄話でおます。

さて、3級片の3級というのは、1989年に香港で映画の指定制度が改定されたさいの分類で、いわゆるR-18に当たります。
以降、その指定制度を逆手に取って、あらかじめエロとグロに飢えた大人のみをターゲットにした作品が次々と現われ、3級片ブームが起こるのでありました。

本作の日本語字幕ではこの3級片のことを「ポルノ映画」としていましたが、映画の内容的には、1960年代、まだポルノ映画なんていう名称のなかった日本で、「エロダクション」と揶揄されながら独立プロがせっせとピンク映画を作っていた時代の方に、なんとなく近い感じがいたしました。

本作の主人公は、芸術としての映画を探求したいお人ゆえ、3級片を作るにあたって、悶々と悩みます。
家族や恋人の反応も気になりますし。
でも、そんなに立派なことを堂々と抜かすだけの才能が、そもそもこの主人公にあるのかどうかが、この映画ではほとんど描かれていないのですけれどね。
向学(?)のため、一部の人たちの間で「香港版『徳川女刑罰史』」と言われている(らしい)『女淫地獄絵巻(満清十大酷刑)』を観に行っても、悩みは深まるばかり。
完全にふっ切れるきっかけになるのが、周防正行監督(香港でもすごくメジャーな監督さんです)の『変態家族 兄貴の嫁さん』のビデオを観て、というところが、今回再見して、何となくいかにもだなあという気もしましたです。

舒淇は、この映画が出世作ということになっておりまして、しょーもないネーちゃんを好演しています。
なぜ自分がポルノ女優になったのかを告白する件で、それまで使っていたとほほ広東語ではなく、ネイティブの言語である北京語を使って生い立ちその他を訥々と語る、そこではちょっとほろりとさせられました。

莫文蔚(カレン・モク)は、この頃はエキセントリックな役柄が多かったのですが、ここでは普通の女の子を等身大の演技で見せています。

ところで、3級片の制定以前、香港にこの手のエロ映画がなかったのかというと勿論そんなことはなく、『愛奴』の項でも少し触れましたが、1970年代には香港屈指のメジャー映画会社・邵氏(ショウ・ブラザーズ)がエロい映画を製作していました。
映画の中でも、息子(張國榮。彼のデビュー作もエロい映画でした)が3級片を作っていることを知ったお母さんが、自分も若い頃はお父さんとそういう映画を観たのよ、と告げる件が出てきます。
残念ながら、日本語字幕では、

私も若い頃、父さんとよくポルノ映画を観たわ。

になっていましたが、広東語の台詞ではちゃんと「李翰祥の風月片」と具体例を挙げていました。

で、この「李翰祥の風月片」というのは、1963年に邵氏を飛び出して台湾へ渡り、國聯公司を設立して映画を作っていた李翰祥(リー・ハンシャン)監督が、再び邵氏へ戻ってから作ったエロティックな作品のことを言います。
現代劇もありますが、時代劇が主体で、1974年に作られた『金瓶雙艶』は、『金瓶梅』の邦題で日本でも公開されました(『金瓶梅』は、一足先に日本でも映画化されています)。
ここで面白いのは、邵氏というメジャー映画会社が、李翰祥という超売れっ子映画監督(『江山美人』〔1959〕でアジア映画祭グランプリ。『梁山伯與祝英台』〔1963〕は特に台湾で大ヒット。80年代に入るまで、その興行収入記録が破られることはありませんでした)に、そういう映画を作らせたということ。
なんだか、東映の石井輝男監督みたいだと思いませんか?
そういう映画を作ったということだけでいろいろ言われた、という点もよく似ています。

てなわけで、7年ぶりに観て、いろいろ新しい発見がありましたです。
あー、また今日もオチがつかんかったわ。すまなんだ。

付記:写真はおまけ。秦沛、姜大衛、爾冬陞兄弟のお母さん・紅薇(向かって右)。爾冬陞は、上2人とは異父兄弟です。左は、香港最大の歌うスター・葛蘭(グレース・チャン)。
[PR]
by sen1818 | 2004-06-25 22:50 | 映画

火線地帯

1961年、新東宝。武部弘道監督。吉田輝雄、天知茂、三原葉子主演。

「地帯(ライン)」シリーズ最終作
この作品のみ、これまでのシリーズ全作品(『白線秘密地帯』『黒線地帯』『黄線地帯』『セクシー地帯』)を手がけた石井輝男監督ではなく、『黄線地帯』や『セクシー地帯』等で助監督をつとめた武部弘道監督がメガホンをとっています。
脚本は、石井監督と武部監督の共同執筆。

タイトルの「火線」とは、拳銃密輸にまつわるお話であるところからきているネーミングらしく、『セクシー地帯』までの買春組織物とは一線を画していました。

しかし、んー、なんと言おうか、シリーズ第1作の『白線~』はともかく、他の3作品と比べるとスピード感&遊び心に欠けるため、ところどころハッとする件はあるものの、最後まで観るのにけっこう難儀しました、正直なところ。

なにより、脇役が普通すぎます。
『黄線地帯』で、嗅ぎタバコなんだか点鼻薬なんだか、わけわからん容器を始終鼻の穴に突っ込んでパフパフやってた大友純も、ここでは全然普通の人でしたし。
石井監督の場合、なんか必ず変な人を出すんですが。
黒塗りの白人娼婦(『黄線地帯』。名前が「ムーア」。って、『マクベス』か?)とか。
唯一、天知茂が面白かったぐらい。
でも、彼は主役の1人だしな。

三原葉子たんも、今回は直球勝負。
刹那的に生きている(やくざの)ボスの愛人が、吉田輝雄演じる主人公・伸一を愛するようになって変貌を遂げていく、その過程がもっとよく描けていればよかったのですが。
吉田輝雄に対して自分を今置かれている状況(籠の鳥状態)から救って欲しいと願い、彼もまた彼女を全力で助け出そうとする、その関係性には、『ならず者』における南田洋子たんと(高倉)健さんの関係(マカオで暮らす肺病病みの日本人娼婦と孤独な殺し屋。健さんは彼女を連れて日本へ帰ろうとします)に少し似たものを感じました。
しかし、ここでの三原葉子たんは吉田輝雄をかばって亡くなり、『ならず者』の健さんもやはり命を落とすのでした。

天知茂は、謎の一匹狼。
南米で暮らすことを夢見ています。
吉田輝雄との間に奇妙な友情が芽生え、天知、吉田の2人に三原葉子たんを加えた計3人で南米行きを目論見ますが、結局船に乗り遅れ、夢破れてしまいます(「キネ旬データベース」の記述とはオチが違います)。
この男同士の友情も、後年の石井監督作品で繰り返し描かれるテーマです。

吉田輝雄は、ちょっととっぽいチンピラ。
が、天然系の魅力があんまり感じられず、残念。

前作『セクシー地帯』があまりにもよかったため(タイトルバックですでにハートをわしづかみにされてしまいました。平岡精二の音楽、最高!ジャズ映画の名作としても記録されるべき作品)、よけい見劣りがしてしまいました。
後半はそれなりに観られたので、前半、もうちょっとなんとかしてほしかったですわ。
石井監督曰く「理屈っぽくなるといやなので(脚本から)削ったところを、彼(武部監督)が戻しているようだった」(『石井輝男映画魂』による)とのことでしたので、それが何よりの敗因かも。

(於:チャンネルNECO)
[PR]
by sen1818 | 2004-06-25 00:07 | 映画

こんな DVD BOX が

出るそうですね。

今改めて見ると、なんか彼女って、新東宝の匂いがする感じ。

最初の収録作品『カバー・ガール』は、長いこと日本未公開で、1977年にやっとこさ公開された作品。

当方も、そのとき観に行きました。

ジーン・ケリーにイカれていたのです、当時(小学5年生でした)。

たしか予告編で、『サタデー・ナイト・フィーバー』をやった記憶があります。

「1944年(昭和19年)にこんな映画を作れるんだから、日本が戦争に負けたのは当然だ」と、この映画を観て今更ながらに思い知らされた人も多かったとか。

なお、本作で使われた"Long Ago and Far Away"は、ジェローム・カーン後期の名曲。

わたくしはいつも、グレン・ミラーのAAFバンドが演奏したレコード(歌:ジョニー・デズモンド)で、この曲を聴いていました(ここで聴けます)。

あ、そうそう、ジーン・ケリーは、『ザナドゥ』の中で、むかしAAFバンドでクラリネットを吹いていた元ミュージシャンの役をやっていました(このレコードを買って、おうちに帰る場面がありました)。

しかし、それにしても、リタ・ヘイワースのDVD BOXが出るのなら、エヴァ・ガードナーのDVD BOXも出してほしい気がいたしますです、はい。

付記:なんかこっちの方が、魅力感じるなあ、リタ・ヘイワース主体で考えた場合。でも、今回のヤツ、アステア様の映画も入っているし・・・・。
[PR]
by sen1818 | 2004-06-24 22:10 | 映画