1977年、東映京都。野田幸男監督。千葉真一、嘉倫、志穂美悦子、エレーナ・スン主演。
全編の90パーセント近くが、香港ロケという
映画。
わざわざ九龍城砦でロケしてます。
ロケに際して、「嘉倫電影有限公司」の協力を得ていますが、香港で出版された『跨界的香港電影』(2000年、康樂及文化事務署)では、日港合作扱いになっていました。
原作に思い入れのある方々には悪評紛々の映画らしいものの、わたくし的にはけっこう面白かったですよ。
でも、笑っちゃうところも多かったけど。
のっけから、千葉ちゃんの登場シーンで笑いましたし。
千葉ちゃんは、なんというか、デューク東郷というよりも、孫悟空(桃がお似合い)ないしはプロゴルファー猿みたいでしたわ。
ゴルゴ松本は、この千葉ちゃんのルックスを真似したんだろか?
スーツ姿のときのやたらと細くて丈の短いズボンは、なんだかルパン三世みたいだったし。
そうか、ルパンやればいいんだよ。
千葉ちゃん版ゴルゴということでカラテアクションも満載、スナイパーにしてカラテの名手という独自のデューク東郷像を作り出しています。
悅ちゃんは、香港警察の潜入捜査官。
「ナイフ投げの芸人」という、おそろしく面倒くさい肩書きで、捜査対象が経営するクラブに潜りこみますが、身分がばれてあっさり殉職。
拷問シーンが、ファンにはたまらないかも。
鶴田浩二が、千葉ちゃんに武器の調達をするおっさん役でちょこっと登場。
普段は九龍城砦の歯医者の先生、らしいです。
戦後のどさくさで、結局香港に居ついてしまったのだとか。
しかし、何もそんなところで歯医者やってなくてもいいのに。
日本で歯医者やってて、香港では免許が通用しないから、闇の歯医者にでもなったのかしらん?
悪役はジェリー伊藤。
架空の国ポーラニア国(ポールとポーラのポーラニア?)の外交官という設定ですが、この映画、香港人俳優も欧米人俳優もみーんな無理やりな日本語吹替えにしてあるので、別にジェリー伊藤じゃなくてもよかったんじゃないかなあと思いました。
それから、ほんのちょっぴりあった日本の場面で、強引に新藤恵美たんが登場。
香港の主任刑事・スミニー(嘉倫。イングリッシュ・ネームか?)の妹という設定でしたが、兄妹一緒に京都に行くだけでおしまい。
んー、なんだったんだ?
あ、新藤さん、後に
こんな映画にも出ていますね。
さて、香港の俳優さんたちに目を移すと、スミニーを演じる嘉倫は、香港ニューシネマの原点と言われている『跳灰』(1976年、梁普智・蕭芳芳監督)の主演男優。
1981年の『邊縁人』(章國明監督)にも、出演しています。
部下の刑事を演じていたのが、後に徐克監督のデビュー作『蝶變』(1979年)に出演することになる黄樹棠。アクション指導も担当しています。
千葉ちゃんを慕う香港娘・紅蘭役のエレーナ・スン(
孫泳恩)は、1973年度のミス香港グランプリ。
でも、じみーな印象でしたね。ちょこっと可愛かったけれど。
こんな映画の製作もなさっているみたいです。
千葉ちゃんと一戦交えるセクシー女優・ダナ(丹娜)は、1975年の邵氏作品『
長髪姑娘』で売り出した方。
裸を見せたらお役御免とばかりに、千葉ちゃんに額を打ち抜かれて死亡。
この映画の方が、『長髪姑娘』の時よりもきれいでした。
後半のクライマックス、千葉ちゃんがジェリー伊藤を撃ち殺す場面の後で、なぜかゴルゴ13のテクニックの解説が延々とナレーションで流れて、「タイムボカン」シリーズのメカの解説を思い出してしまいました。
ラストは、空港でデューク東郷を待ち受けていたスミニーが、東郷に一発お見舞いして、
次は必ず逮捕してやる!
と、宣言しますが、千葉ちゃん演じる東郷は無表情のまま、決して笑いません。
原作がそうなんだから当たり前なんだけど、その無表情な顔が、笑えるんですよねえ、なぜか。
で、千葉ちゃんを乗せた飛行機が去っていくところで、ジ・エンド。
「来週に続く」みたいな感じで終るので、もしかしたらもう1作を考えていたのかも。
結局はありませんでしたが。
とりあえず、香港映画ファンは必見の作品です。