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週刊現代 5月1日号

2004年5月1日発行 講談社

日本中が「自己責任」の大合唱になっている現在、ひねくれ者のわたくしは、思わず「身捨つるほどの祖国はありや」なんて一人ごちていますが、そんななか発売されたのがこれ。
普段は読まない雑誌なのですが、「醜悪すぎるバッシング『どうせ共産党でしょ』『自作自演だろ』『何様のつもり』 解放された人質家族への罵声」という特集記事を掲載していることを知って、思わず購入してしまいました。

読んでみると、まあ、すごいことすごいこと。

「政府は人質救出の策を講じる前に、警察や国家公安庁、内閣情報調査室を使って人質の思想・信条をチェックしていた」って、あんたら、何考えてんの?
現段階において、政府のこの企ては功を奏しているようで、マスコミも国民もひっくるめて皆で総動員体制に入っていますから、笑いが止まらないでしょうね、総理大臣は。

わたくしも、人質を全面的に擁護するつもりはないものの、それにしても、なんか変ですよ。
海外での自国民の保護は、民主主義国家の政府であれば当然の義務なのに。
それとも、まだ民主主義じゃないのかな、この国は。

今こそ、なぜこんな事件が起きたのか、その根本原因を探り、その上で、自衛隊派遣の是非が問われなければならないときだと思うのですが、そういう本質的な議論には残念ながら至らないまま、なし崩し的にこのまま突っ走っていってしまいそうです。

今度の日曜日までは書店で手に入りますから、この記事だけでもお読みになってみて下さい。

最後に、記事中にあった森田実(政治評論家)のコメントを、引用しておきます。

「権力は自分の正当性が証明できなくなると、相手の欠点をほじくり出し、メディアに宣伝させて、どっちが悪いかという二元論に持ち込む。イラクへの自衛隊派遣の正当性を主張できなくなった政府・与党が、被害者と家族の身元を調べ上げて、彼らを葬り去ろうとすることで国民の目をそらそうとした。歴史は繰り返します。戦前のようなイヤな時代が、確実に始まりつつあります」

劫火に焼かれ、人間とは似ても似つかぬ姿になった真っ黒焦げの醜い肉塊が、道端にごろごろ転がっている。そしてその中の一つが、もしかしたら、自分の死体かも知れない。
そんな時代が日本にもまたやってきてしまうのか。そう考えると、慄然とします。

付記:今日、テレビを観ていたら、ドイツと韓国の駐日特派員が、今回の一件(自己責任)に関する違和感を率直に表明していました。ところが、番組司会者は「国によって、感じ方はいろいろありますからね」と発言、なんとしても「自己責任論」に持っていこうとしていて、なんだか滑稽でした。
今回の件とは直接関係ありませんが、かつてこの国で何があったのかを知るために、このエッセイもご紹介しておきます。わたくしの祖母は、当時、本所石原町に住んでいましたが(祖父は既に戦死していました)、郷里の母親(わたくしの曾祖母)が急病に罹ったため急遽新潟へ帰省、難を逃れました。
by sen1818 | 2004-04-20 23:08 | 読書

貯まるかな? (管理人名:せんきち)


by sen1818