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待っていた極道

1969年、東映京都。山下耕作監督。若山富三郎主演。

昨晩、『徳川いれずみ師 責め地獄』(1969年)を再見、あまりの素晴らしさに大興奮したのですが(ますみたんが吉田輝雄の腕の中で亡くなる場面なんか、陶然としてしまいました)、いきなり最高傑作から書くのも何なので、まずはこのあたりからせめてみたいと思います。

前述したとおり、『元禄女系図』と同時上映の1969年お正月映画(1月9日封切だから、たぶん第2弾)。ますみたんは、その両方に出演していたわけです。
役どころは、祖父の生活の安定のために渋谷組組長(敵役)の後妻になることを承諾したものの、騙されて玉ノ井へ売り飛ばされ娼妓になるという、不幸を絵に描いたような女性・知子。
その後、祖父が厄介になっていた小仏組組長(大木実)の計らいで請けだされてかたぎの生活に戻り、若山富三郎の子分(山城新伍)との恋も芽生えます。
ところが、今度は祖父が惨殺され、山城新伍も敵討のため出入りに出動、最後まで不幸な知ちゃんなのでありました。

キャスト的には、かなり重要な役のはずなのですが(タイトルバックでも、若山富三郎の後に名前が出てくる、3人の女優の中の1人〔他は、清川虹子と弓恵子〕に入っています)、せっかく出てきても姿があんまり映っていません。
身請けされて祖父のところへ戻り、これまでの経緯を縷々語るところでも、じいちゃんの顔にばかりピンが合っていて、ますみたんのお顔はボケボケのまま。
結局、まともに顔が映るのは2回ぐらいで、アップなんか夢のまた夢でした。

この時期、ますみたんは異常性愛路線映画と並行して、若山富三郎の「極悪坊主」シリーズ(『極悪坊主』『極悪坊主 人斬り数え唄』)や、オールスターキャストによる仁侠映画『博徒列伝』といった作品にも出演しています。
おそらく、彼女あたりが、若山富三郎から「あんな映画(異常性愛路線)には出るな!」と、一番説教されたクチだと思います。
そういえば、「極悪坊主」シリーズのうち、ますみたんが出た2作品はなぜかビデオ化されていません。
観てみたいのですが・・・・

なぜかしらん?

ところで、この映画で玉ノ井で働いているところを見られてしまったますみたんが、「こんな汚れた姿を見られたくない」と言って泣く場面がありましたが、併映の『元禄女系図』でも、騙されて岡場所へ売り飛ばされたますみたんは、「あたしの身体は汚れてしまった」と言って泣いていました。
どっちに転んでも悲惨なのね。
by sen1818 | 2004-04-15 23:47 | 橘ますみ

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by sen1818